食べるために水を吸わせていた金時豆を一粒、出窓の鉢にぽいと置いたら、ぐんぐんと芽を伸ばして、ついに花が咲いた。
花のもとには小さなさやができている。
近所の桜のつぼみもぐんぐんと膨らんできていて、
こんな大地震があって、大津波が襲ってきたというのに、
花は咲いちゃうんだなあ。
そんな気持ちで近所を歩いていたら、庭の大きな木蓮の枝を落としている家があった。
見上げていたら、持っていきませんか、とつぼみがたくさんついている枝を差し出された。
私のからだの半分くらいある、立派な枝だった。
家に持って帰って、切り分けて花器に刺す。
モクレンの枝は固くて、剣山に刺すのが大変だったけれど。
家の中にこんな大ぶりの花木を置くのは久しぶりだ。
だんだんと花が開いていくのを眺めていると、気持ちが落ち着く。
花器の前に置いてあるのは、買いためたお菓子やフルーツだ。
ふだんは全然食べないのに、最近なんだか無性に甘いものが食べたいのだ。
変だけど、このくらいならまあいっかと欲望のおもむくままに買って食べているよ。
仕事仲間には、カラダの震えが止まらないとか、家から一歩も出られないなんていう人もいるからねえ。