2023-02-07

2023年1月 アンよりロビンソン・クルーソーが好きだった。

転勤の可能性をきっかけに、家の中の断捨離を考え始めた。

1階は友達のオフィスとして使ってもらおう。
2階のソファーは捨てて、留守番の誰かが寝られるソファーベッドを置こう。
3階の三つある本棚のうち、一番大きいのを持って行くまたは捨てることにして、本はほとんど捨ててしまおう。

そして、本と和室の畳の下にしまいこんだ書類の整理をはじめてみた。
畳の下からは出るわ出るわ 、ダンボールや紙袋がたくさん。二人の昔の仕事の資料や書類。私の伝票 などなど。
その中から一つ「しの封印」と書かれた古いダンボールが出てきた。

20代の頃から持っていたもので、開けるのも嫌で封印していたという記憶はうっすらとある。
このまま畳の下に引き続き置いちゃおうかなとも思ったんだけど。
次にこれが畳の上に出るのはきっと私の死後で、誰か私以外の人が見るのだろうと思ったら、今処分するしかない。
箱のまま捨てて誰かが持って行っちゃったら困るので、ガムテープを剥がして開けてみた。

出てきたのは小学校以来の私の日記帳。 たまにしかつけていなかったのでほんのちょっと。
それから学生証や20代の頃使っていた小さな手帳数年分などなど。
そして箱の半分は何とハードカバーの表紙の一冊ずつケースに入った「赤毛のアンシリーズ」の全十冊であった。

なんでこんなもん入れたのかな。多分捨てるのはちょっと躊躇するけどもう読まないと思ったんだろうな。

これは私が小学校の高学年になった頃に母親に買い与えられ、繰り返し繰り返しアンのようになりなさいと言われたものだった。
つまりアンのように聡明になり、なおかつギルバートのような優秀な旦那さんと結婚しろということだ。

私も繰り返し読んで楽しんだけど、好きだったのは貧弱な孤児の女の子アンが、マシューに憧れの膨らんだ袖のワンピースをプレゼントしてもらって大喜びする場面や、アンの娘のリラが、なかなか懐かない孤児のジムの子育てに四苦八苦して、ついに赤ん坊が笑ったのを見る場面だった。

つまり私は、逆境といえるマイナスの状況から始まってだんだん実り、気持ちや生活が豊かになっていくプロセスを読むのが好きだったんだなあ。

なので本当に私が好きだったのは 、ロビンソン・クルーソーだ。
無人島に裸同然で流れ着いたロビンソンが、 食うや食わず の毎日から工夫をして、掘っ立て小屋を作りパンまで作りインディアンの子分までできて、元の世界に戻っていく。
ロビンソンはちゃんと成功するとわかっていながら、何度も何度も最初から繰り返し読んだものだったなあ。