7人の建築士に会い、3人に絞り込み、コンペで3-5万円で基本設計をしてくれないかと依頼し、結局そんな金額では基本設計はできないと言ったY氏に、基本設計をしてもらうこと無しに決定した。(他の二人には基本設計をしてもらった)
面白かったのは大学でも教えている某建築士先生の自宅かな。(うちと同じくらいの敷地の狭小住宅だった)外壁は鉄板をカーブさせて球形に作ってあって、そこにNASAで使っている遮熱塗料を塗っているので、夏も鉄板が暑くならないんだそうだ。でも天窓がたくさんあるスキップフロアの家はけっこう暮らしにくそうだった。同席してくれた奥さんがぽろっと言う「夏は暑い」とか「階段が多くて住みにくい」という言葉にホンネを見たなあ。本当にクールでカッコいい家だったけどね。植栽が少ないし、キッチンにこだわりが無さそうだなあと見て取れたのも非決定の理由だった。
その先生からは地下室を寝室にする鉄筋コンクリート作りの設計で3000万円の提案をもらった。とっても面白い物が出来そうだったけどね。賞を取る家より、暮らしやすい家に住みたいのよね、私は…。
設計をお願いすることにしたY氏とは1回目に会った時に、3時から5時半まで2時間半も穏やかにミーティングをした。最初はもたもたした感じで、即刻NGかと思ったけれど、喋っているうちにいい人なんだなあと思えてきた。(この長時間ミーティングはその後も毎回続くのだった)
建築家コンペサイトから仕事を取ることがけっこう多いみたいなのも、送付資料のプレゼンテーションがいいのとこの人柄のせいだろうか。
工法や素材に関してはどんなものでも対応可能という感じで、特にこれといった主張が無い。(これもY氏のひとつの特徴だ。)でも今まで手がけた中で、ルーフバルコニーで排水を屋根の外に出せるように工夫した話など聞くと、細かいところもよく考えるんだなあと思えた。でもどう工夫したんですか?と突っ込んで聞かないと理由を話してくれないんだけどね。人徳というべきか、そこで損しているというべきか。
某社で人事担当をしている夫がY氏がいいと思った理由。
・独立した理由が「ひとりひとりのお客さんに時間をかけたかった」という点
・DINKS(奥さんが法律の先生)で週に3回ご飯を作る(料理好き夫の好感度ぐんとアップ!)
・自分の価値観を押し付けないで顧客志向
・志望動機が自分が建てたい家に似ているからと思ったという点
・夏でもエアコンなし過ごせる。熱い空気を上に逃して、南北の風の通り道を作るという点
・国土交通省の補助金対象となるような強度がある家を今まで作っているという点
・コスト意識がある
・誠実な人柄
さて、この好印象が、丁々発止のやり取りが今後行われる中で、いつまで続くでしょうか!?
一級建築士、登録数は29万人で実働10万人とか言われているけれど、それでも全国にあるコンビニの数4万軒よりもずっと多い数だ。近所を見渡しても、新築している家の数がコンビニの数より数倍多いとも思えず、仕事を取るのは大変だろうなあと推察いたします。(まあ私だってフリーランスだし似たようなものですが)そんな中で取った私たちとの家作りというこの仕事、どんな風にY氏が回していくのか、興味深く拝見させていただきます。
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